全国各クラブの活動報告
東京産業人クラブ、パネル討論会「東京のものづくりを考える」開催
東京産業人クラブは27日、日刊工業新聞社、東京工業団体連合会と共催で、東京都議会自民党ものづくり推進議員連盟メンバーを迎えたパネル討論「東京のものづくりを考える」を、ホテルグランドパレス(東京都千代田区)で開いた。同議員連盟の鈴木あきまさ幹事長、井上裕之東京産業人クラブ会長(愛知産業社長)、宇野澤虎雄東京工業団体連合会会長(宇野澤組鉄工所社長)、中西充東京都産業労働局長、河内豊東京都産業労働局商工部長が登壇し、それぞれの立場で現状や課題を提示して議論した。都内の中小経営者ら約100人が参加して聞き入った。
【都のものづくりの現状】
討論は三つのテーマに分けて展開。まず「東京のものづくりの現状」では、中西局長が「東京の製造業は全国で事業所数2位、従業者数6位で、多種多様な分野がある。しかし、近年はいずれも減少傾向だ」と指摘。鈴木幹事長は「中小企業の優れた技術が国内製造業の競争力の源泉になっている。オンリーワン技術を地域全体で育てることにより、時代の荒波を乗り越えられる」と強調した。井上社長は「リーマン・ショック以降、中小製造業は厳しい環境にさらされている。常に新しいものを生み出すイノベーション精神が重要だ」とした。
【厳しい環境を生き抜く】
次に「厳しい環境を生き抜くためには」では、宇野澤社長が「優秀な人材と、彼らが培ってきた経験がかけがえのない力になる」と主張。井上社長は「政権交代後、製造業にも動きが出てきている。造船・機械関連の案件が進み始めた。この流れは中小にも波及するだろう。その時に対応できるエンジニアの確保が重要だ」と続いた。
これに対し、鈴木幹事長は「例えば大田区では工業高校や高専の生徒との地域交流を深めたり、産業集積を維持するための工場アパートを整備したりして、地域ぐるみで人材と技術の継承に取り組んでいる」と紹介した。
河内部長は「産業活性化には都と区市町村の連携が不可欠だ。行政としても設備更新の一部を助成する施策なども含めて積極的に支援する」と強調した。
【産政官スクラムで克服】
最後に「さまざまな課題克服のために産業界、政界、行政でどうスクラムを組むべきか」について討論。鈴木幹事長は「東京が抱える高齢化や環境問題に対し、中小の技術が貢献できる。大田区では医療機関と製造業のマッチングを支援する拠点を開設した。こうした新しい連携を通じ、成長分野に進出していくことが求められる」と主張した。
井上社長は「医療分野は技術があっても法規制などで参入が難しいのが実情で、行政の積極的な後押しを期待している」と求めた。宇野澤社長は「電力料金の引き上げが心配だ。中小は資金面で不安がある。都で実施しているさまざまなバックアップをもっと宣伝するべきだ」とした。中西局長は「製造業は昔も今もこれからも日本経済の礎。新市場に果敢に挑戦するものづくり企業を支えるため、都としてさまざまな機関と連携しながらきめ細かくサポートする」と応えた。
討論後の懇親会では、東成エレクトロビームの上野保会長が乾杯の音頭を取り、「実りのある討論会だった。都は国に負けないような独自策を講じている。これからも広く支援してほしい」と盛り上げた。
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